ポンプのトラブルや不具合の症状別に想定される原因と対象方法についてご案内いたします。
流量及び圧力の低下は以下のいずれかまたはいくつかの組み合わせで発生します。
想定される原因 | 対処方法 |
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吸込配管でエアが混入 | 吸込配管上のエア吸込箇所を特定し適切に取付ける |
ラインストレーナあるいはサクションラインの詰まり | ストレーナおよびサクション配管の清掃 |
ポンプ吸込口が供給タンクの水位よりも上になっている |
ポンプを供給タンクの水位よりも下に設置
押込みポンプを採用 |
供給液量が不足 |
吸込ラインを外し適正な流量(ポンプ吐出量の1.5~2.0倍)が供給されていることを確認
供給不足となっている要因を排除 |
ポンプの回転数が不適切 | ポンプを定格回転数内で運転する |
リリーフバルブが開きバイパスされている | リリーフバルブの設定圧力を上げる |
ポンプ内チャッキ弁部品の摩耗、破損 |
チャッキ弁部品の交換
必要に応じて材質変更 |
吸込あるいは吐出バルブに異物混入 | 吸込および吐出バルブの異物除去・清掃 |
オイルレベルの異常低下 |
オイル漏出経路の特定(ダイヤフラム破損、軸シールからの漏れ、ドレン口からの漏れ、ハウジング破損など)
オイルの補給および油圧部のエア抜きを行う |
ダイヤフラムが破損 |
「ダイヤフラムの早期破損」の項参照
ダイヤフラムを交換 |
過剰圧力によるマニフォールドのゆがみ |
過剰圧力の原因の特定(吐出配管上の閉止弁の制御不良、吐出側オリフィスが小さすぎる、調圧弁の設定不良など)
マニフォールドの交換 |
過剰圧力によるOリングの破損または脱落 |
過剰圧力の原因の特定(吐出配管上の閉止弁の制御不良、吐出側オリフィスが小さすぎる、調圧弁の設定不良など)
Oリングの交換 |
吸込側ラインストレーナ、ホース継手部あるいはガスケットでのエア混入 |
継手の適切な取付あるいはガスケットの交換
吸込ホース破損 吸込ホースの交換 |
供給タンクの水位が異常低下 | 液の補充 |
供給タンク内でエア混入または乱流が発生 |
タンク内の戻り配管のライン変更
遮蔽板の設置 |
駆動ベルトの摩耗又は滑り | ベルトの再調整または交換 |
ノズル、流量、圧力調整バルブの摩耗、破損 | ノズル、バルブの交換 |
シリンダーキャスティングのひび割れ | シリンダーキャスティングの交換と過剰圧力発生の有無確認 |
異常振動および異常音は以下のいずれかまたはいくつかの組み合わせで発生します。
想定される原因 | 対処方法 |
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プーリーまたはカップリングの芯ずれ | プーリーまたはカップリングの再調整 |
ポンプ内チャッキ弁部品の摩耗、破損 |
チャッキ弁部品の交換
必要に応じて材質変更 |
配管内でエアロック | 吐出配管上のバルブを開放し、無負荷でポンプをできるだけ高回転で運転し、エアを強制排出 |
オイルレベルの異常低下 |
オイル漏出経路の特定(ダイヤフラム破損、軸シールからの漏れ、ドレン口からの漏れ、ハウジング破損など)
オイルの補給および油圧部のエア抜きを行う |
低温環境での高粘度オイルを使用 | 低粘度オイルに交換 |
吸込配管でエア混入 | 吸込配管上のエア吸込箇所を特定し適切に取付ける |
吸込配管或いは吐出配管で閉塞 | 配管内の清掃、バルブ制御の確認 |
ダイヤフラム交換後のエア抜き不足 | 油圧部のエア抜き作業を実施 |
吸込あるいは吐出バルブに異物混入 | 吸込および吐出バルブの異物除去・清掃 |
ダイヤフラムが破損 |
「ダイヤフラムの早期破損」の項参照
ダイヤフラムを交換 |
バルブスプリングの磨耗、破損 |
バルブスプリングの交換
耐薬品性、ポンプ回転数、乱流、吸込不良の有無を確認 必要に応じて材質変更 |
ダイヤフラムの破損原因はダイヤフラムの破損形状からある程度特定が可能です。詳細はポンプ付属の取扱説明書を参照お願いします。
想定される原因 | 対処方法 |
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ポンプ凍結によるダイヤフラムの硬化 |
ポンプ停止時に液を不凍液に置換
初起動時にスロースタートさせる |
異物による亀裂 | 供給タンクへの給水口にフィルターを設置 |
供給液に対する材質が不適合 | ダイヤフラムの材質変更 |
回転速度が速すぎる | ポンプを定格回転数内で運転する |
過剰圧力 | 過剰圧力の原因の特定(吐出配管上の閉止弁の制御不良、吐出側オリフィスが小さすぎる、調圧弁の設定不良など) |
キャビテーション | 「キャビテーション」の項参照 |
ピストンの破損 |
ピストンの交換
キャビテーション発生の有無を確認 |
オイルの白濁または液体の油圧部混入は以下のいずれかまたはいくつかの組み合わせで発生します。
想定される原因 | 対処方法 |
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雨水の混入(屋外設置時) | 屋外用キャップに変更 |
ダイヤフラムが破損 | 「ダイヤフラムの早期破損」の項参照 |
ダイヤフラム交換後のエア抜き不十分 | 油圧部のエア抜き作業 |
ダイヤフラム取付ねじの締結不良 | ダイヤフラム取付ねじの再締結 |
ダイヤフラムスクリューOリングの破損あるいは脱落 | ダイヤフラムスクリューOリングの交換 |
シリンダーキャスティングのひび割れ |
過剰圧力発生の有無確認
シリンダーキャスティングの交換 |
過剰な脈動は以下のいずれかまたはいくつかの組み合わせで発生します。
※1連式のモデルでの小さい脈動は異常ではありません。
想定される原因 | 対処方法 |
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吸込あるいは吐出バルブに異物混入 | 吸込および吐出バルブの異物除去・清掃 |
オイルレベルの異常低下 |
オイル漏出経路の特定(ダイヤフラム破損、軸シールからの漏れ、ドレン口からの漏れ、ハウジング破損など)
オイルの補給および油圧部のエア抜きを行う |
吸込配管でエア混入 | 吸込配管上のエア吸込箇所を特定し適切に取付ける |
バルブスプリングの磨耗、破損 | バルブスプリングの交換 |
バルブスプリングの磨耗、破損 |
バルブスプリングの交換
耐薬品性、ポンプ回転数、乱流、吸込不良の有無を確認 必要に応じて材質変更 |
キャビテーション | 「キャビテーション」の項参照 |
供給タンク内でエア混入または乱流が発生 |
タンク内の戻り配管のライン変更
遮蔽板の設置 |
バルブ・バルブシートの異常磨耗は以下のいずれかまたはいくつかの組み合わせで発生します。
想定される原因 | 対処方法 |
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高速運転による早期摩耗 | ポンプの回転数を下げる |
キャビテーション | 「キャビテーション」の項参照 |
研磨性流体による磨耗 | ポンプの回転数を下げる |
研磨性流体による磨耗 |
ポンプの回転数を下げる
バルブ・バルブシートの材質をセラミックまたはタングステンに変更 |
供給液に対する材質が不適合 | バルブ・バルブシートを耐薬品性のある材質に変更 |
オイル漏れは以下のいずれかまたはいくつかの組み合わせで発生します。
想定される原因 | 対処方法 |
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ダイヤフラムが破損 | 「ダイヤフラムの早期破損」の項参照 |
軸シールの経年劣化 | 軸シールの交換 |
ポンプハウジングOリングの破損 | ポンプハウジングOリングの交換 |
ダイヤフラムスクリューOリングの破損あるいは脱落 | ダイヤフラムスクリューOリングの交換 |
オイルドレンキャップあるいは給油キャップの緩み | オイルドレンキャップあるいは給油キャップの再締結 |
バルブプレートあるいはマニフォールドを締付けるボルトの緩み | ボルトを規定トルクで再締結 |
ダイヤフラム取付ねじの緩みまたは締結不良 | ダイヤフラム取付ねじの再締結 |
キャビテーションは以下のいずれかまたはいくつかの組み合わせで発生します。
想定される原因 | 対処方法 |
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以下の原因によるポンプへの液体供給不安 ・吸込配管の破損あるいは詰まり ・ラインストレーナの詰まり ・吸込配管の管径が細すぎるあるいは吸込配管が長すぎる ・吸込配管でエア混入 ・吸込ホースの磨耗あるいは破損 ・吸込配管に継手が多すぎる ・吸込配管上のバルブのボアサイズが小さすぎる |
配管の修理あるいは清掃 ストレーナの清掃 配管径のサイズアップ、吸込配管取り回しの再検討、押込ポンプの採用 吸込配管上のエア吸込箇所を特定し適切に取付ける 吸込ホースの交換 吸込配管取り回しの再検討、ホースの使用 フルボアタイプのバルブを使用 |
液温が高い |
液温を下げる 吸込配管の継手を減らし、できるだけ短くする 液体をポンプ吐出後に加温する |
供給タンク内でエア混入または乱流発生 |
タンク内の戻り配管のライン変更 タンク内に遮蔽板を設置 |
吸込口の真空度が高い | 押込みポンプを使用する |
上記対処方法で改善されない場合
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