ポンプ据付時の注意事項

はじめに

  1. ポンプ取扱説明書に記載の全ての指示および安全事項をよく読み、守ってください。
  2. ポンプ定格以上の回転数および圧力での運転はおやめください。
  3. ポンプの設置および使用に関しては、ポンプが搭載されている装置の規則および規定を守ってください。
  4. 安全でスムーズなメンテナンスのために、ポンプの周りには十分な作業スペースを確保してください。定期的なオイルレベルの点検、オイル交換、ポンプヘッド部の取り外しができるスペースを確保してください。
  5. 運転中の振動抑制のため、ポンプユニットは設置場所にしっかりと固定してください。
  6. 希望する運転条件でポンプが必要とするNPSHrを上回るNPSHaを装置側で確保してください。
  7. ポンプの許容吸込圧力(負圧値および正圧値)から外れないようにしてください。
  8. ベルト駆動の場合、ベルトとプーリーの芯出しをしっかりと行い、ベルトのテンションはベルトメーカーの指示に従って下さい。
  9. カップリング接続の場合、カップリングの芯出しをしっかりと行って下さい。
  10. ベルトおよびカップリングには安全カバーを取り付けてください。
  11. 凍結の恐れがある場合、ポンプ停止時に液だまりが発生する場所にはドレン口を設けてください。

供給タンク

  1. 供給タンクのサイズは、液中の気泡が無くなるのに十分な大きさを確保してください。ポンプ吐出量の3倍以上は必要です。(例:30LPMであれば90L以上)
  2. 共振防止のため、ポンプユニットを供給タンク上には設置しないでください。
  3. 1台の供給のタンクから複数のポンプへ液を供給する場合、ポンプそれぞれに配管を設けてください。1本の配管から分岐しますと吸込不良を引き起こす可能性があります。
  4. 吸込配管内の流速は0.3m/secとなるようにして下さい。
  5. 1つのタンクで複数のポンプを使用する場合、複数のポンプが同時に起動しても、ポンプ同士が液を吸いあわないよう適切に配置してください。吸込不良を引き起こす可能性があります。
  6. 供給タンク内で、給水ラインおよび戻りラインが液面を叩かないようにして下さい。液面で発生した気泡がポンプへ入りますと、性能低下の原因となります。タンク内の給水ラインおよび戻りラインとポンプの吸込配管接続口の間にバッフルを設けることで、ポンプへの気泡の混入および乱流の防止が可能です(下図参照)

吸込配管の設計

  1. 吸込配管のサイズ選定の際は、流速が0.3~0.9m/secから外れないようにして下さい。
    V(流速)=流量(LPM)×21.221÷配管I.D.2(mm)
    ※やむをえず複数のポンプに分岐する場合は0.3m/secとなるようにして下さい。
  2. 吸込配管はできるだけ短く且つストレートとし、ポンプ吸込口から配管径×10相当距離の配管には乱流の原因となる継手類(例:バルブ、エルボ、チーズ等)を使わないでください。
  3. 定期的な点検が確保できない場合は、吸込配管上にラインストレーナーやフィルター類を設置することは推奨しません。使用する場合は、ポンプ吐出量の1.5~2.0倍相当の液が通常運転時に透過できる開孔面積を確保し、必ず負圧計または連成計を設置しフィルター詰まりを監視してください。
  4. ポンプと吸込配管の接続には、(ポンプが自吸しても潰れない)フレキシブルホースまたは伸縮継手を使用し、運転中のポンプから発生する振動が装置に伝わらないようにして下さい。
  5. ベント口を設けられない場合は、吸込配管に立ち上がりを作らないでください。エアが溜まり、ポンプが性能不良を起こす恐れがあります。凍結の恐れがある場合は、配管内の液が溜まる恐れ場ある場所にドレン口を設けてください。
  6. 吸込配管の負圧監視のために負圧計または連成計を設置してください。
  7. 1本の吸込配管に複数のポンプを接続しないでください。
  8. 配管を曲げる際は、乱流と抵抗防止のため、90°エルボの使用は避け、45°エルボまたはホースをご使用下さい。エルボ使用時はポンプ吸込口から配管径×10相当離れた場所に設置してください。
  9. ストップバルブを設置する場合、抵抗とならないようにフルボアタイプをご使用下さい。ポンプ運転時は全開であることを確認してください。
  10. 安全弁からの余水をポンプの吸込配管に合流させないでください。やむを得ず合流させる場合は、ポンプ吸込口よりできるだけ離して合流させてください。
  11. 必要に応じて配管にはサポートを取付けてください。

吐出配管の設計

  1. 吐出配管のサイズ選定の際は、流速が2.4~3.0m/secから外れないようにして下さい。
  2. ポンプと固定配管の間には高圧ホースを使い、運転中のポンプから発生する振動が装置に伝わらないようにして下さい。
  3. ポンプのできるだけ近く且つ、ポンプと圧力調整弁の間に圧力計を設置してください。
  4. 過剰圧力防止のため、圧力調整弁、アンローダーバルブ、または安全弁を必ず設置してください。
  5. ポンプと圧力調整弁の間、または圧力調整弁のバイパスライン上にストップバルブを決して設置しないでください。
  6. 吐出配管上に電磁弁等のライン切替弁を設置する場合は、瞬間的な全閉状態が発生しないよう、切換タイミングに時間差を設けてください。
  7. ポンプ運転を継続した状態で、電磁弁等を閉じ、安全弁から全量バイパスさせる場合、安全弁の設定方法によってはサージ圧(過剰圧)が発生する場合があります。詳細は弊社までご相談下さい。
  8. 吐出配管にはエア抜き用のバルブを設置して下さい。バルブは垂直方向に設置し、ポンプ吐出口と同径のフルボア式ボールバルブを推奨します。

圧力調整弁(安全弁)の選定

  1. 圧力調整弁(安全弁)は、全量バイパス時でも装置内の定格圧力の範囲内に収まる十分な大きさのものを選定して下さい。
  2. 圧力調整弁(安全弁)はポンプにできるだけ近く設置し、その他バルブを設置する場合は、圧力調整弁(安全弁)の二次側に設置して下さい。
  3. 圧力調整弁(安全弁)は最大使用圧力+10%未満に設定してください。なお、設定圧力はポンプまたはバルブメーカーの定格圧力を超えないようにして下さい。

振動・騒音の軽減

ハイドラセルポンプは容積式往復動ポンプのため、ポンプ自体が振動を発生します。振動が装置全体に伝わらないよう、吸込口、吐出口への接続はホースとし、ポンプ架台の下には、ポンプ重量に合った適切な防振ゴムの使用を推奨します。